カードローンの審査で見られるもの|「ブラック」の正体は異動という2文字

借入の基礎知識

審査を「印象」や「人柄」の話だと思っている方がいますが、そうではありません。貸金業法が調査を義務づけていて、何を使って調べるかまで条文で決まっています。そして調べられる内容の大半は、自分でも確認できます。この記事では、法律が何を求めているか、信用情報に何がどう残っているか、そして俗に「ブラック」と呼ばれているものが実際には何を指すのかを、条文と信用情報機関の公開資料から整理します。

審査は貸し手の裁量ではなく、法律上の義務

貸金業法第13条第1項は、こう定めています。

貸金業者は、貸付けの契約を締結しようとする場合には、顧客等の収入又は収益その他の資力、信用、借入れの状況、返済計画その他の返済能力に関する事項を調査しなければならない。

「しなければならない」です。審査を省いて貸すという選択肢は、貸し手の側にありません。同条は続けて、調査の手段まで指定しています。

条項義務の内容
第13条第1項収入・資力、信用、借入れの状況、返済計画その他の返済能力に関する事項を調査する
第13条第2項個人と契約するときは、指定信用情報機関が保有する信用情報を使用する
第13条第3項一定額を超える場合は、源泉徴収票などの提出または提供を受ける
第13条第4項調査に関する記録を作成し、保存する

第2項に注目してください。信用情報の照会は「してもよい」ではなく「使用しなければならない」と書かれています。申し込めば必ず照会される、ということです。

なお第5項により、これらは極度額を増額する場合にも準用されます。増額の話はカードローンの増額申請とは?審査がやり直される理由と、逆に減額される場合に別途まとめました。

必ず照会される「信用情報」の中身

貸金業法の指定信用情報機関は、株式会社シー・アイ・シー(CIC)と株式会社日本信用情報機構(JICC)です。銀行系には全国銀行個人信用情報センターがあります。

CICは、保有する情報の種類と期間を公表しています。

情報の種類記録される内容保有期間
申込情報加盟会員が照会した事実(照会日、商品名、契約予定額など)照会日より6か月間
クレジット情報契約内容と支払状況(残債額、入金履歴、延滞の有無など)契約期間中および契約終了後5年以内
利用記録利用途上で加盟会員が照会した事実利用日より6か月間

審査で最も重く見られるのは真ん中の「クレジット情報」です。契約終了後も5年以内は残ります。

「ブラック」の正体は「異動」という2文字

信用情報に「ブラックリスト」という名前の名簿は存在しません。実際にあるのは、CICの開示報告書の「返済状況」欄に表示される異動という2文字です。

CICは、異動が登録されるものを次のように説明しています。

  • 返済日より61日以上または3か月以上の支払遅延(延滞)があるもの、またはあったもの
  • 返済ができなくなり、保証契約における保証履行が行われたもの
  • 裁判所が破産を宣告したもの(破産手続開始の決定がされたもの)

線は明確です。「うっかり数日遅れた」は異動ではありません。61日、または3か月。この線を越えたかどうかです。

「返済状況」欄には、ほかにも次の表示があります。

  • 支払条件変更……和解・再契約等により支払条件(減額を除く)に変更が生じたもの
  • 支払総額変更……和解・再契約等により支払総額に変更(減額)が生じたもの
  • 法的手続……破産手続の申請が行われたもの
  • 解消……支払が遅れていた未払い金を解消したもの
  • 更新停止……クレジット会社等が毎月の更新をできなくなったもの

契約が終わったときの状態を示す「終了状況」欄もあります。完了は全額支払われて終わったもの、本人以外弁済は保証会社などから支払われたもの、貸倒はクレジット会社等が貸倒れとして処理したもの、法定免責は破産により支払免除が法的に認められたものです。

ここまで見れば分かるとおり、審査で見られているのは抽象的な信用ではなく、この欄に何の語が入っているかです。

入金状況は24か月分が記号で残っている

もうひとつ、見落とされがちな欄があります。毎月の入金の有無が、記号で24か月分並んでいます。一番左が最新で、右に行くほど過去にさかのぼります。

記号意味
$請求どおり(もしくは請求額以上)の入金があった
P請求額の一部が入金された
Rお客様以外から入金があった
Aお客様の事情でお約束の日に入金がなかった(未入金)
Bお客様の事情とは無関係の理由で入金がなかった
C入金されていないが、その原因がわからない
―請求もなく入金もなかった
空欄クレジット会社等から情報の更新がなかった

異動に至らない遅れも、ここには残ります。Aが単発で一つあるのと、Aが断続的に並んでいるのとでは、読み取られる意味が違います。異動がついていないから問題ない、とは限らないということです。

私はファクタリングの審査をする側にいます。カードローンの審査はしていません。ただ、履歴の読み方という点では共通しています。私の場合は通帳です。売掛先からの入金が、申告どおりの周期と金額で繰り返し着地しているか。一回の大きな入金より、繰り返しのほうが情報量が多い。この感覚は、24か月の記号列を読むときと同じです。何を見ているかはファクタリングの審査で実際に見ている5つのことに書きました。

情報は機関をまたいで共有される

「別の系統の会社なら分からないだろう」という前提は成り立ちません。CICは、他機関との情報交流のしくみを公表しています。

しくみ参加機関交流される情報
FINECIC、JICC個人信用情報等および申込情報
CRINCIC、全国銀行個人信用情報センター、JICC延滞に関する情報、本人確認書類の紛失盗難に関する情報
IDEACIC、全国銀行個人信用情報センター、JICCカードローン・クレジットカードキャッシング、貸金業法対象貸付に係る債務等の情報

延滞の情報は三機関の間で交流されます。銀行系と貸金業系をまたいでも、そこは見えます。

年収の3分の1——総量規制の中身

貸金業法第13条の2第1項は、調査の結果として返済能力を超える契約と認められるときは、その契約を締結してはならないと定めています。第2項が「個人過剰貸付契約」を定義し、年収の3分の1という線を引いています。

日本貸金業協会によれば、この「年収」に含まれるのは給与、年金、恩給、事業として行うものを除く定期的な不動産の賃貸収入、そして過去の状況に照らして安定的と認められる年間の事業所得です。宝くじや競馬のような一時的な収入は入りません。

そして、この規制が働かない貸付けが二種類あります。

除外貸付けは残高に算入されず、その後の借入れにも影響しません。不動産購入ローン、自動車ローン、高額療養費の貸付け、有価証券担保貸付け、不動産担保貸付け、売却予定不動産の貸付けの6種類です。

例外貸付けは年収の3分の1を超えられますが、その額は残高に算入されます。顧客に有利な借換え、段階的に残高を減らす借換え、緊急の医療費、10万円以下かつ3か月以内返済の緊急費用、配偶者と合算した年収の3分の1までの配偶者貸付け、個人事業者向け貸付け、新規事業者向け貸付け、1か月以内の銀行融資までのつなぎ資金の8種類です。

個人事業主の方は、6番目に目を留めてください。事業計画・収支計画・資金計画から返済能力が認められる場合には、3分の1を超えることがあります。ただし残高には算入されるため、次の資金調達の余地はそのぶん狭くなります。

収入証明書については、日本貸金業協会が基準を示しています。ある1社からの借入残高が50万円を超える場合、または複数の貸金業者からの借入れの合計が100万円を超える場合です。認められる書類は、源泉徴収票、支払調書、給与の支払明細書、確定申告書、青色申告決算書、収支内訳書、納税通知書、納税証明書、所得証明書、年金証書または年金通知書の10種類とされています。

申し込んだ事実そのものが6か月残る

先ほどの表にあった「申込情報」です。これは契約に至ったかどうかに関係なく記録されます。審査に通らなかった申込みも、照会の事実として6か月間残ります。

短期間に何社も申し込むと、その履歴がそのまま並びます。次に審査する会社から見れば、「何社にも申し込んで、どことも契約に至っていない」という状態が読み取れます。俗に「申込ブラック」と呼ばれるものの実体はこれです。名簿に載るのではなく、照会の記録が並ぶだけです。

しかも、この情報はFINEを通じてCICとJICCの間で交流されます。系統を変えても見えます。

銀行のカードローンはどう違うか

根拠法が違います。貸金業者は貸金業法、銀行は銀行法です。総量規制は貸金業法の規定なので、銀行に直接は適用されません。

ただし運用は近づいています。全国銀行協会は2017年3月16日、理事会で「銀行による消費者向け貸付けに係る申し合わせ」を決定し、改正貸金業法の趣旨を踏まえて審査態勢等の整備を徹底するとしました。その後の実態を金融庁が2018年8月22日に公表しています。

項目申し合わせ前申し合わせ後
貸金業法と同水準以上の収入証明書徴求基準約1割(12行)約9割(96行)
年収債務比率による融資上限枠の設定約5割(58行)約9割(93行)
融資実行後に信用情報照会を行っていない銀行39行20行

上限枠を設定した93行のうち約7割(71行)は、自行・他行のカードローンに加えて貸金業者からの借入れも勘案しています。上限の水準は年収の2分の1が59行、3分の1が9行という内訳です。

「銀行なら総量規制がないから通りやすい」という理解は、現状に合っていません。

申し込む前に、自分の信用情報を見ておく

ここまで挙げた情報は、すべて本人が開示請求できます。CICはインターネットでの開示に対応しています。JICC、全国銀行個人信用情報センターにも開示の手続きがあります。

見るべき順番はこうです。

  1. 返済状況の欄に「異動」があるか
  2. 入金状況の24か月に、AやPがどれくらい並んでいるか
  3. 契約が何件あり、残高の合計がいくらか
  4. 申込情報に、直近6か月の申込みが何件並んでいるか

3番目は特に重要です。自分の借入総額を正確に言えない状態で申し込むと、申告と照会結果がずれます。貸金業法第13条第1項の調査は申告内容から出発するので、そこがずれると全体が疑わしくなります。

なお、開示請求をした事実が審査に不利に働くことはありません。CICの「利用記録」は加盟会員が照会した事実の記録であって、本人の開示請求とは別のものです。

通らなかったときにやってはいけないこと

一つだけです。すぐに別の会社へ申し込むこと。

理由はここまでで説明したとおりで、申込情報が6か月並び、機関をまたいで共有されるからです。3社目、4社目と続けるほど、通る確率は下がっていきます。

もう一つ、絶対に避けるべき道があります。断られた直後は、「審査なし」「ブラックOK」といった広告が目に入りやすくなります。これらの文言は、貸金業法第16条第2項が貸金業者に禁じている表示そのものです。見分け方はヤミ金の見分け方|広告の一文と金利の3つの線で判断するに整理しました。

借りずに済ませる道

審査に通らなかったということは、少なくとも制度の側が「いま返すのは難しい」と判断したということです。その判断を押し切って借りる方法を探すより、前提を変えるほうが早い場合があります。

公的な制度と支払いの猶予があります。生活福祉資金貸付制度、国民健康保険料や年金保険料の減免・猶予、国税や地方税の納付猶予。家賃や公共料金にも分割や猶予の相談窓口があります。借りて払うより、待ってもらうほうが総額は小さくなります。

事業収入があるなら、もう一つあります。取引先への請求が発生しているなら、その売掛債権を期日前に現金化する方法です。これは借入れではないため、年収の3分の1の計算に乗りません。手元の資金がいつ足りなくなるのかを先に把握する方法は資金繰り表の作り方に書きました。

よくある質問

Q. 「ブラックリスト」という名簿はあるのですか。

ありません。実際にあるのは、信用情報の「返済状況」欄に表示される「異動」という記載です。CICは、61日以上または3か月以上の支払遅延、保証履行、破産手続開始の決定があった場合に登録されると説明しています。

Q. 異動の記録はいつ消えますか。

CICのクレジット情報の保有期間は、契約期間中および契約終了後5年以内とされています。したがって、契約が終了してから5年以内は残り得ます。

Q. 数日の延滞でも記録に残りますか。

異動には至りませんが、入金状況の欄には残ります。CICは、本人の事情で約束の日に入金がなかった場合を「A」の記号で表示すると説明しており、この記号は24か月分が並びます。

Q. 銀行系と貸金業者系で、情報は別々ですか。

延滞に関する情報はCRINにより、CIC・全国銀行個人信用情報センター・JICCの三機関で交流されます。IDEAではカードローンやキャッシング等の債務情報が交流されます。系統をまたいでも見える部分があります。

Q. 審査に落ちた理由を教えてもらえますか。

一般に、理由は開示されません。ただし、自分の信用情報は本人が開示請求できます。返済状況、入金状況、契約件数と残高、直近6か月の申込件数を見れば、どこが引っかかったのかはかなり絞り込めます。

Q. 個人事業主やフリーランスは不利ですか。

不利と決まっているわけではありません。総量規制の年収には、過去の状況に照らして安定的と認められる年間の事業所得が含まれます。また「個人事業者向け貸付け」は例外貸付けに位置づけられており、事業計画・収支計画・資金計画から返済能力が認められる場合には年収の3分の1を超えることがあります。

Q. 申し込みを取り消せば、記録も消えますか。

消えません。CICの申込情報は「加盟会員が照会した事実」の記録なので、照会が行われた時点で残ります。保有期間は照会日から6か月間です。

審査に通ったあと、総額がいくらになるのかは返し方で決まります。毎月の返済額による違いはカードローンの返済を比較する|毎月の額で総額が34万円変わるに計算を載せました。

開業してまもない個人事業主の方は、そもそも審査に必要な実績が足りないことが多く、別のルートを先に検討したほうが早く進みます。実績がない段階で何が使えるかは開業してまもない個人事業主の資金調達に、コストの安い順に並べた全体像は借りる前に試す資金繰りの手段にあります。

まとめ

要点は3つです。

  1. 審査は義務です。貸金業法第13条第1項が調査を、第2項が指定信用情報機関の信用情報の使用を義務づけています。申し込めば必ず照会されます。
  2. 「ブラック」の正体は「異動」です。61日以上または3か月以上の延滞、保証履行、破産手続開始の決定。線は具体的で、しかも自分で確認できます。
  3. 落ちたあとに続けて申し込むのが、最も損な動き方です。申込情報は6か月残り、機関をまたいで共有されます。

申し込む前に、自分の信用情報を一度開示してみてください。異動の有無、24か月の記号列、契約件数と残高、直近の申込件数。この4つが分かれば、通るか通らないかの見当はかなりつきます。見当がつけば、通らない申し込みを重ねずに済みます。


本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、審査結果を保証するものではありません。法令や各社の運用、信用情報機関の取扱いは変更される場合があります。個別の判断については、各制度の窓口や専門家にご確認ください。

出典(2026年9月17日確認)

  • 貸金業法(昭和58年法律第32号)第13条、第13条の2、第16条 / e-Gov法令検索
  • CICが保有する信用情報 / 株式会社シー・アイ・シー
  • 開示報告書の各項目の説明について / 株式会社シー・アイ・シー
  • 開示報告書の《入金状況》に表示される記号について / 株式会社シー・アイ・シー
  • 信用情報の交流(CRIN・FINE・IDEA)/ 株式会社シー・アイ・シー
  • お借入れは年収の3分の1まで(総量規制について)/ 日本貸金業協会
  • 総量規制が適用されない場合について / 日本貸金業協会
  • 年収を証明する書類とは / 日本貸金業協会
  • 銀行による消費者向け貸付けに係る申し合わせについて(2017年3月16日)/ 一般社団法人全国銀行協会
  • 銀行カードローンの実態調査結果について(平成30年8月22日)/ 金融庁

文責:株式会社オルカン 代表取締役 髙橋 稔